ブログは自己顕示欲

鬱になった妻(スーザン)の記録をしていくブログです。

4月15日 入院の勧め

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 この日もあまり体調は思わしくなさそう。しかし夜よりは朝のほうが体が動くようです。お風呂に入り、身支度を整え、今日はタクシーでお医者さんに向かいます。
 本当は電車でも行ける場所なのですが、電車だと時間の管理とかが煩わしいとのこと。スーザン曰く「なんかこらえ性がないの」ということですが、待ったり、計算したりということが、精神的な負担になってしまうようです。「うまくいかないかも」という可能性がつらくさせるのでしょうか。
 早めに着いたので、少し本屋さんに寄り、その後でお医者さんに行きます。まずはスーザンとお医者さん二人で。続いて私が呼ばれ、三人で話します。
 お医者さんからは入院を勧められます。やはり万が一の心配。自殺衝動に対する備え。これまで何とか死なずにすんでいますが、それは「たまたま」かもしれませんし、たった一度のことが取り返しのつかない結果につながってしまうわけですから、お医者さんの危惧はもっともだと思います。どんな病気でも、生きていなければ治すこともできません。
 とはいえ、スーザンは乗り気ではありません。入院ということ自体も不安でしょうし、私と離れることが不安なようです。病室にひとりきりになるのも気が進まないことでしょう。
 しかし私が仕事で出かける以上、家でひとりの時間があり、その時間に危険性があることもまた事実です。ひとまず紹介状をつくってもらい、まずは一回診療を受けてみて、それから決めることにします。
 入院予定先の病院に電話をかけてみると、とても親切で丁寧な応対でした。とても好感が持てます。通院予定日もすんなり決まりました。
 「いろいろと不安なこともおありでしょうから、まずは当院をご覧になってからお決めください」
 入院もまずは病院の雰囲気などをうかがってから決めることにします。
 お薬は頓服薬を「不安な時に飲む」から、「一日三回」にかえてもらいます。どうしても気持ちに波があるので、それを恒常的に抑えるようにします。
 また就寝前の薬として、リフレックス錠が追加になりました。

 寝る前の不安を抑える薬です。
 のんびりと家に帰ります。帰る間、スーザンといろいろ話します。お医者さんと話し、太陽にあたり、歩き、私と話したことで、いろいろ落ち着いたようです。
 「私ね、思ったの。やっぱり流産したときに、すぐに仕事に戻ったんだけど、そこで『なんでもっと落ち込まなかったの?』っていうのが負担だったみたい」
 スーザンなりになんで精神を病んでしまったのか考えていたようです。
 「赤ちゃんがいなくなって、もっと落ち込むはずなのにって」
 昨夏の流産は私にとってもショックな出来事でありましたし、もちろんスーザンにとってもそうでした。私にはスーザンがひどく落ち込み、悲しんでいるように見えましたが、それでも足りなかったのではないか? という自責の念があったようなのです。
 思えば、そういう心の澱に、いろいろな不安の要素がからまり、ついにうつ病という症状にあらわれたのかも知れません。
 実家のお母さんに入院の話を伝えます。今、私が考えているところでは、まず入院して自殺衝動がなくなるレベルまで回復させ、ひとりでも大丈夫な状態に持っていき、次の段階では実家でひたすら療養させる。生まれ育った実家にひたすらこもることで、ゆっくり休むこともできるでしょう。そして最終段階として私との生活を再開させる。この三段階での治療を考えていることを伝えます。
 理解ある親御さんで、治療計画を了承してもらいます。親御さんにも心配をかけて、本当に申し訳なく思います。
 夜、お出かけします。カレーを食べに行きます。うつ病になった理由の端緒が自分なりに少しわかったせいか、スーザンはとても落ち着いています。たくさん楽しい話をし、二人で笑います。
 こういう笑える時間を少しでも増やしたい。一緒に笑える時間をつくるための入院なのだと自分の気持ちを整理していきます。本当は私も入院させて離れ離れになりたくない。でも、死なれてしまってはなんにもならない。スーザンにこれからも生きてもらうための入院。
 「入院したくない。一緒にいたい」
 スーザンはやはり入院するのは嫌なようです。でもね、仕方ないんだよ。ちょっとだけ我慢して欲しい。一緒にこれからもいるためなんだ。ごめんね、スーザン。